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2023年 3月 14日 入試の特徴を見極める@日本史

こんにちは。東京大学教養学部文科一類2年の山田達也です。

今日は円周率の日ですね。314、2718のような特定の数字の並びを見るとどうしても心が躍ってしまうものです(異論は認めます)。同時に、その数字が何を表しているかという点もしっかり意識しておきたいところですね。「円周率の定義」……意外と言えない人が多いのでは?(答え:円周と直径の比)
ここでは、「円周率」というものが完全に常識化してしまっていることがその要因にあるかもしれません。公式になってしまっているものでも、その背後にあるものを把握しようとする努力を出来るかどうか、というところに分水嶺があるのではないかと個人的には思っています。

さて今日は、「選択科目の学習方法」について書くことになっています。普段ブログを書くときは総論的なことばかりになってしまうので、今回は各論的に「日本史」に絞ってみようかと思います。前半で日本史の出題傾向を全体的に確認しながら、後半では東大を例にとって、実際に分析を試みます。

これは個人的な感覚ですが、最も出題の振れ幅が大きい科目が日本史ではないかと感じています。国公立・論述中心の出題に絞っても、指定語句有り400字論述(筑波大)、300字論述と語句短答の組み合わせ(京都大)、資料文を踏まえた短論述(東京大)など様々あります。私立大に目を向ければ、正誤判定問題が中心にはなるものの単語短答・年号などが問われるケースもあり、一発で全容を把握するのは困難です。
つまりここで大事になるのは、「自分の志望している大学では、どのような問題が出るのか」を、正しく知っておくことです。東大志望で一問一答の訓練をするのはかなり効果が薄いですし、逆に早慶志望で論述対策をするのもかなりベクトルが違うという話になります。特に意識したいのは、「理解」がどの程度必要になるかという点です。単に流れの暗記(誰が・どこで・どのようなことを、etc.)で十分なのか、それとも背景まで含めた理解(事件どうしのつながり、外交的情勢、etc.)まで必要なのか――この点は、学習を大きく方向づけるものです。ここは最低限把握しておきたいところではないかと思います。

それでは、これを東大について考えてみましょう。入試問題としては2021年を題材にします(自分が受けた年なので)。実際の問題は過去問データベースから確認できるので、ぜひ見てみてほしいです。
第1問は資料文がありつつも、しっかり知識があることを前提にした問題になっています。流れを説明する言葉・題材選びに資料文が大きくかかわることになるため、点数を取るためには資料文の把握も重要になってきますが、まずは正しい知識(例えば、時代が下るにつれて北家が台頭したこと)と理解(例えば、機構の整備進展と政務円滑化の関係)があることが前提になっていることが分かります。知識理解をベースにした(そして、正しく字数内でまとめられている)解答が要求されることに、気づくことが出来るでしょう。
逆に第3問、設問Bはかなり「その場の理解・文章の解釈」が重要になるものです。もちろん宝永噴火は基礎知識レベルだとは思いますが、それをどのように対応したか、というのは資料文から読み取らなければならない内容です。「江戸時代は米を換金して財政運営をしていた」というベースとなる理解から、「米の増産を最優先するのではないか」と考えて、そこから政府の対応・結果(影響)までを記述しなければなりません。その場の思考力が非常に重要になる問題だったといえるのではないでしょうか。

結局、「暗記を裏付ける理解」が、特に重要だということはいえます。単に暗記する(円周率=3.14と反射的に言ってしまうように!)のではなくて、暗記の背後でどれだけ思考・理解を巡らせられるか、ということが合否を分ける要素になっているのです。

ぜひ、自分の大学についても問題の分析をしてみてくださいね。必要に応じて、担任や担任助手にも聞いてみるとよいと思います。

明日は飯沼先生です。お楽しみに!